氣と経絡の実在への信頼と理想の治療法確立への思い(3)

前回のブログで、わたしは、
1) 氣とは、量子(電子や電磁気と関係がある)であるとの仮説を臨床上の信念としている。
2) もろもろの痛みは、その部位の電位異常を感じている。損傷電位と書きましたが、活動電位の間違いでした。様々な刺激により、活動電位が起こり、連鎖的に神経伝達を引き起こして伝わってゆく。
3) しかし痛みを感じている部位に必ずしも原因が存在しているとは限らない。
→ 2)と矛盾??
4)氣というのは、量子の内の電子や、電磁気的エネルギーでもあるとし、痛みなどの症状を改善、除去するには、異常部位へ氣(電子、電磁気的エネルギー)を補うことがまず基本と考えている(鍼灸でいう補法優先)。
5)古代の医書、黄帝内経には、身体には、前後左右上下などの虚実に留意すべきとの記述がある。
6)漢方医学には、人体において、“氣”とは切っても切り離せない、“経絡”という氣の流れ道があり、人体の生理、病理、診察、治療とすべてに関わっている。

今回は、氣と経絡(身体に流れる氣のルート)を柱にして書かせていただきます。
漢方医学(便宜上、東洋医学、中国医学、中医学を含めます)によると、人体には、“氣”とは切っても切り離せない、“経絡”という氣の流れ道があります。

この経絡は、現象として、体表面の皮膚に黒い筋、白い筋、あるいは体毛が避けている縦の筋道として目に見える形で現れることもあります。

主なもので十二本あり、それぞれが五臓六腑に繋がっていて人体の内部から体表部に現れて、様々な部位と関連しあったり、人体の内外、左右前後上下などバランスを取り合ったりします。五臓六腑同士も、氣血水(リンパ、組織液など体液)を通して、それぞれが異常に亢進し過ぎたり、減退し過ぎる事の無いよう、補い合ったり、抑制しあったりします。

ところで、この経絡も痛みの原因や痛みの除去と直接関係があります。
漢方医学(東洋医学、中国医学、中医学)では、氣が滞りなく流れると痛みが治り、氣の流れが滞ると痛むということばがあります(通即不痛、不通即痛)。

この言葉は、例えば、経絡だけでなくても、神経の伝える痛みであっても、病変部位の損傷した組織の電位異常が痛みの感覚を引き起こしているのならば、電子の流れや振る舞い(逆方向の電気の流れ)にも影響が起こり、異常の流れとなって、痛みの感覚を引き起こしており、それが解消すれば、痛みを起こす原因が消えているとも解釈できるのかもしれません。

しかし、実際に起きている事は、もう少し複雑な事情があり、そう簡単ではありません。

何故ならば、皆さんも日常的に経験される方も多いと思うのですが、
怪我や病変のない(組織が損傷していない)痛み、あるいは、怪我や病変部位と全く同じ部位の左右反対側が痛むなどなど、わけの分らない痛みがあります。

また様々な解釈が成り立つと思うのですが、大体、頚肩部、背中、腰部など一本に連なる脊柱の中でも相関関係があります。またこの脊椎の関連から、上肢と下肢の神経学的関連や、抗重力の骨格筋の歪から来る痛みもありますが、ここでは、ややこしくなるので、最初に申しましたように、氣と経絡を柱に部位との関連で括って書かせて頂きます。それは、症状の出方や、治療に関して、氣(電子、電磁気的エネルギー)の虚実偏在とバランスという重要なテーマが存在するからです。

まず核心に入る前に、経絡など存在するのか?という方々もおられると思いますので、日々の臨床で説明します。腰痛や頚部の痛みなどで背面部の症状の際、経絡の分類で考えると、真ん中の脊柱には督脈という縦の陽気の総元締めの流れがあります。

またそのすぐ際の脊際の縦の流れ、ちょうど脊髄から内臓にでてゆく自律神経のねっこの神経根があるあたりですが、この部位を夾脊(きょうせき)というつぼが縦に並んでいます。また、そこから横の背面部には、膀胱の経絡の氣が脊椎と併走するように縦に流れています。

これら部位に、張り痛みが出ている時、まず子午治療(子午鍼法)という鍼法の対処が即効的です。

その子午鍼法というのは、症状の出ている部位を流れている経絡に対して、最も遠い相対関係にある経絡(これらの場合は、それぞれ肝臓、腎臓、肺臓)を中心に刺さない接触鍼や指でを氣を流すと、ほぼ即効的に症状が改善除去されます。

ところが、子午鍼法は、手関節や足関節周りのツボを多用するので、まだこれでは、整体師の方々は、関節部の異常(主にロッキング)を解放することによって、連動的に筋膜の調整をしている可能性も除去できないという方々もおられるかもしれません。

実際に、症状と関連する遠隔部の関節で、可動制限のある靭帯の調整で症状を治される優れた整体の手法もあります。
しかし、関節とはあまり関係のない、内科的な症状で例えば、風邪による喉の炎症の痛み、ストレス性胃炎の痛みも手や足の経絡によって、その場で除去できます。

舌や口唇にできた口内炎の痛み、体幹部の癌性疼痛に至るまで、場合によっては程度の差はありますが、筋膜の調整ではない経絡という氣の流れの調整で、その場で即効的に症状を改善除去できます。

その場で効果が出るのが、経絡に流れる氣の調整の素晴らしいところであると確信しています。
これらによって、わたしや同じ鍼法をされている、神戸はり医術研究会(代表:葛野玄庵先生)先生方は、日々、臨床から、感動を持って“経絡と氣の存在”の実感を得ています。苦しんでおられる患者さんに対して不謹慎な表現ですが、面白すぎるぐらいに効果が出るからです。

でも、ここでひとつ重要な問題があります。

やっと確信に入れるのですが、その場で効果が出るのが、経絡に流れる氣の調整の素晴らしいところ、また痛みの解除には、実際には複雑な事情があると最初にも書きました。しかし、そこには、人体において、着目すべき性質が存在しています。同時にそれは氣と経絡の観点から考えないと成り立たないものでもあります。

それは、左右の経絡の氣の流れ方が同じではなく、また入れ替わることがあるという臨床事実です。鍼灸には、氣の流れに対して、“虚実補寫”という根本的な刺法の目的があります。

凝っている部分を鍼で、“グサグサ”抜き差して緩めることが根本目的ではないのです。

そうではなく、氣の流れ方の多い少ないを調整するために、少ないところへ氣を“補”ったり、逆に有り余って症状を引き起こしている原因のところから余計な分を抜き去る“寫“法を使ったりして、人体の氣の流れを調整します。左右両方を補うことは、まずしません。何 とならば、効果が半減するからです。

長くなりましたので、次回、気付きを与えてくれた臨床の話をいくつか書かせて頂けたらと思います。

(2014年10月2日 ブログ初出)

  • わたしは、脈診で刺さない鍼の効果を判定しながら施術をしています。
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