脈診で何が分かるの?

治療の前にまず、必ず、お脈を拝見いたします。 患者さんのお脈を拝見し、咳や鼻水、熱などの所見が著しくないのに、少し前まで風邪を引いていたとか、今は、ひきはじめだとかを伝えると、大抵、目を丸くされて、何故分かったのかと聴かれることも多いです(もっとも現代の人間は、文明の利器に冒されて、通常の生理反応としての正確な脈診が難しくなっている場合も多いですが)。
東洋医学の脈診は、西洋医学の脈の測定とはかなり異なります。それは、鍼灸治療においても、患者さんの病、症状の状態や、訴えておられる症状を起した本当の原因はどこにあるのかということもある程度、推測可能です。もちろん、脈診だけで全てが分かることは難しいので、問診や背部や胸腹部の状態などと鑑みて、患者さんの状態を判断し、治療方針を検討してゆきます。

その際、本当は、”氣”ということがここでもネックになるのですが、”氣”という言葉に対して、アレルギーを持たれる方の為には、敢えて、氣という言葉を用いずに、たとえば、このように説明いたします。
例として、漢方医学には、脈が浮く、沈むという言葉がありますが、一身の寒熱や元気の有無(漢方医学的には氣の虚実)を判断するひとつの材料であります。
では、浮くとは、脈管の太さが、通常よりも大きく膨らんでいるように感じたり、皮膚を押し上げるように脈拍動を感じることです。

また、脈が沈むとは、通常よりも脈管が細く感じたり、皮膚の表面では脈が見えず、指を押し下げていって拍動が分かったり、骨に近いところまで指を押し下げていってはじめて拍動がある場合もあります。

では、この浮く、沈むをどのように判断するかですが、皆さん、一番簡単な例では、今の蒸し暑い時期には、汗をたくさんかかれますよね。そのためには、体表の汗腺、毛穴から身中の熱を汗と一緒に放散させます。

そのためには、体中の熱くなった体液水分を沢山体外へ出しますので、一身の血液循環量も大きく動かすため、心臓も頑張って拍動が旺盛になり、そして、身体の幹線道路たる主要な動脈循環の量も大きくなり(これが脈の管が太くなるということです)、抹消の毛細血管が開き(皮膚表面が赤く見える)、汗として水分と一緒に熱を放散させます。

このとき、皮膚表面の気化熱効果も大きいのです。これは、病気で高熱を出しているときも同じです。だから、脈を指で触ってみて、いつもより脈管の太さと拍動が大きく、速く感じられたら、体中に熱がある可能性が大きいです。

しかし同じように浮く脈でも、脈が速くなく拍動も弱いけれど、皮膚の表面を触って、脈が上のほうで感じられるのは、心身がお疲れ気味で、疲れ症状(疲れ目や肩首のこわばり、頭痛など)おきていることが多く、言ってみれば、私たちが疲れが溜まって、床の上に手足を広げて「ああ~しんどい~」といっているようなものです。脈管も”ああしんどい~”って、ふやけているような状態も脈が浮いています。

このように単に動脈の脈管太く感じられるだけでなく、拍動が強いか弱いか、脈を打つ速さが速いか、そうでないかによっても、身体の状況が全く別物となります。
機械で脈を測定するよりも、漢方医学、中国医学的に、脈を直感感性的に捉えることの方が意味があると感じています。

それでは、脈は沈む場合ですが、長くなったので次回に説明致させて戴きます(一応、極々一般的な風邪ひきの脈まで説明を試みたいです)。

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