再び、”氣”について・・・

これまで何回かに分けて、鍼灸の重要な診断術のひとつでおある、”脈診”について、説明を試みました。
鍼灸術の診断から施術、予後の判定に至るまで、判断基準の中核に”氣”というものがあります。
これは眼には見えない、一般的には、何なのかよく分からないとされていますし、感覚的に敏感な患者さんもおられますが、
初診の方々に氣についてお話をしますと、たいていの方は、「本当にあるの?」という答えが返ってきます。
そこで、まず、これまでの脈診のお話のように、
氣のことにできるだけ触れぬように理解していただけるようなご説明を試みますが、やはり限界もあります。

以前にも書きましたが、古代の中国科学思想、思想哲学の中心にある氣のことや、
陰陽論、太極思想を、現代の量子論、波動量子力学の物理学者の始祖達が、
肯定的に捕らえているばかりか、そこからヒントを得たことを述べています。

ところで、この氣というものを、全く考慮せずとも、
施術に関しては、ツボの効能や、刺鍼刺激に対する人体の生理的な(病理的応答も含めて)応答において、
という範囲で、ある一定の効果を得ることもまた事実です。
現に、全く氣のことを考慮せず、素晴らしい治効を発揮される鍼灸師もおられます。

しかし、わたくし自身は、鍼をもっともっと効果的に活かしたいと思う時、
氣や、陰陽太極思想に踏み込まなければ、実現できないと、内心確信を得て治療させて頂いています。
何故ならば、人体には、前後左右、内外(内臓と外表部)斜め同士、あるいは部分と全体の相互作用などなど、
沢山のバランスをシステム的にとってゆく調和作用があり、将来、脳脊髄中枢神経学的および、
内臓同士の相互調整の原理などが、一部判明している現在よりも完全に解明される日もくるのかもしれません。

しかしまず、内臓と身体の各部を連絡させて、氣という生体エネルギーを供給するシステムが存在し、
またそれが人間の精神心理作用まで影響し、調和させる可能性があることを前提にした古代医学を受け入れて、
利用した方が、はるかに有効かつ多彩な効能が発揮されることを日々実感しているからです。

たとえば、頚部や腰の前後屈の動作痛をもとなう不良が、手や足のツボに対して、鍼やゆびを触れなくとも、
近づけるだけで改善させたり、またそのツボの左右を入れ替えるだけで、瞬時から10秒位の間に悪化させることも可能なのです。
因みに電話で何度か遠隔操作を試みたことがありますが、成功しております。
この場合も(意念による)左右の選択による効果の差は歴然ですので、こちらが返って驚かされます。

あるいは、手法を開発段階ではありますが、患者さんの背面部から、太極拳的な操作によって、
触れずとも、身体の氣の流れ方の調整や前後左右のバランス調整をすることによって、身体を緩めてゆくことも可能になりつつあります。
背面部は中国医学では、背骨を中心に陽気の海とされており、わたしは各部にエネえルギーを供給するバッテリーの様な感覚を持っておりますが、
正しい判断と操作によって、他の部位よりも安全且つ効果が出やすいと感じています。

これは、触れて影響を与えてゆく神経学的な理解とは別で、意識による操作を抜きには成し得ないのですが、
意識的に経絡や身体のその場に対する正しい操作法(例えば、氣の虚実に対する補寫の選択を正しく行う)を行えば、良好な結果が得られますし、
こちらの誤判断、例えば、左右の虚実の判断間違いでは思うような結果を得られず、こちらの選択の間違いに気付かされます。
もちろんそれを訂正すれば、正しい結果に導かれてゆくことを実感しています。

これは、証明の仕様がないのですが、身体の組織を細分化してゆくと、分子→原子→量子的世界〔原子核(陽子、中性子)、電子(雲)〕になってゆきますが、
単一の電子の波動干渉性や有名なシュレディンガーの猫のパラドックスのように、
観察者が量子世界のあり方を変化させてゆくということと関係があるのではないでしょうか?
そういう思いを持って、自分の中にあるはずの氣の医術の確立を目指しております。

こういう思いに至ったのも、気功や素晴らしい老師、先生方との出会いのお陰であります。
また鍼灸のみならず、新しい整体方を考案された先生方のお陰もとても大きいです。
また患者さんの身体に教えていただいていることも、欠かすことができません。

皆様のお陰と、またそれを基に広げていくものを患者さんにすべて還元させていただきたいと、日々歩んでおります。

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